シンデレラは騙されない
凛様は、一回、私から視線を外す。
そして、目を細め、腑に落ちない何かを考えている。
「君はさ…
こんな所で、住込みで働くような人間じゃないでしょ?」
私の心は、言葉というナイフによってギザギザに切り裂かれた。
あまりの衝撃に、問いただす気力もない。
言葉を失っている私を見て、凛様は更に続ける。
「俺の記憶が間違ってないなら、君は、ニューヨークのプロムで水色のドレスを着たそのパーティでナンバーワンのの美人だった。
俺の中では、だけどね」
私は今度はあまりの驚きで立っている事さえ難しい。
「君は俺の友人のパートナーだった。
ジャックだよ、覚えてる?
あいつの鼻高々な笑顔を今でも忘れない。
ジャックは俺の高校のクラスメート。
どうやら、俺と君はあの寄宿学校で一個違いで過ごしていたわけだ。
ま、でも、俺は寄宿舎には入らず、一人暮らしをしてたけどね」
私の記憶が甦る。
人生で一番楽しかった高校時代…
でも、高校卒業と同時に、私の夢見る世界は終わった。