シンデレラは騙されない
今日からのこの一年、がむしゃらに頑張るつもりだったのに、初日で心がくじけそう…
私は気分を変えるために、冷蔵庫に冷やしておいたミネラルウォーターを口に含む。
そして、ソファに腰を下ろした時、入口のドアが開く音がした。
……星矢君、何か忘れたかな?
私が入口の方へ顔を向けると、ドアの前に凛様が立っていた。
それも、手にはシュガースィートコーンの紙袋を持って。
「忘れ物、取りに来た」
凛様は表情を何も変えずにそう言った。
さっきまで外していた黄色いサングラスをかけていて、そこに麗しき凛様の面影はない。
「星矢君の? 何だろう?」
私はそう言いながら、星矢君が座っていた場所に何かないか探してみる。
「俺の忘れ物だよ」
「凛様の?」
私がそう言って顔を上げると、リビングの壁に寄りかかる凛様が小さくため息をつく。
「麻里の答えを聞いてない」
麻里??
いきなりの呼び捨てに心臓がドクンと飛び跳ねた。