シンデレラは騙されない


「り、凛様!」

ソファの下に頭が入った状態で、凛様はピクリとも動かない。
私はとにかく凛様がちゃんと息ができるように、ソファを少しずらして凛様のお顔をソファの狭い場所から解放した。

でも、やっぱり凛様はピクリとも動かない。
耳元でソファを動かす時のミシミシ音がかなりうるさかったはずなのに、寝ているのか気を失っているのか、凛様は目を閉じたまま仰向けに寝転んだままだ。

時間が経つにつれ、私の方は何だか落ち着いてきた。
凛様をジッと観察していると、気を失っているように見えるけど、これは完全に酔っ払って寝ている。

酔っ払った時でさえ育ちの良さを感じてしまう凛様の寝顔は、どれだけ見ていても飽きないほど穏やかで美しかった。

私はずらしたソファに腰掛けた。
これからどうすればいいのだろう…

凛様が自分の部屋と間違えてここに入って来たのは簡単に想像がつく。
こんな夜中に私がするべき事は、床に寝転んでいる凛様をとりあえずソファかベッドの上に寝かせる事。





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