シンデレラは騙されない


「凛様、起きて下さい。
ここはベッドじゃないですよ…
凛様、聞こえてます? 凛様?」

やはりピクリともしない。
一体どれだけ飲んだのだろう…

私は自分のベッドから枕を持ってきて、とりあえず凛様の頭の下に入れ込んだ。

この間凛様を見た時とは、少し髪形が違っている。

あの時、ツンツンボサボサだった凛様の髪はサラサラですごくいい匂いがして、何だか禁断の媚薬を嗅いでしまった小娘みたいにうっとりとしてしまう。

私は頭を振って現実に戻った。
そして、今度はベッドから毛布を持って来る。
床から移動させるのは私の力では到底無理な話で、だったら、風邪をひかせないように凛様を守るしかない。

三月も後半になったけれど、夜はまだ冬のように寒かった。
私は暖房を入れて、凛様にかぶせている毛布を寒くないように首元まで上げ隙間を作らないように上手にたくし込んだ。

私は凛様が寝ている事を前提に、幼い弟にするようにせっせとお世話をした。




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