シンデレラは騙されない
私は凛様に恋をするわけにはいかない。
山本さんの言うように、結ばれるには身分が違い過ぎる。
これは凛様の社交辞令…
こうやって凛様の近くにいる人間は、皆、凛様の虜になる。
また、目を閉じて眠ってしまいそうな凛様を私は体を揺らして起こした。
凛様がこのままここで寝てしまったら、会長や星矢君にどう言い訳していいか分からない。
そんなつまらない事を考える生真面目な自分がちょっと切ないけれど。
「凛様、起きて下さい。
自分の部屋で寝て下さい」
凛様はやっと体を起こしてくれた。
そして、頭痛がするのか、頭を抱えて顔をしかめる。
「水、もらえるかな?」
私は冷蔵庫からミネラルウォーターを出して、コップに注いで凛様に渡した。
凛様はそれを一気に飲み干して、大きく息を吐く。
「ごめんな…
寝てるとこ起こして」
「……いいえ」
私は凛様がこの部屋に来た理由を知りたかった。
本当に間違えて来たのか、それとも私の部屋と分かってて来たのか。
でも、それを聞く事は止める。
凛様はここへ自分の部屋と間違えて来た…
それでいい…