シンデレラは騙されない
私は心臓と一緒に、私自身も飛び跳ねた。
そして、すぐ近くにある給湯室へ逃げ込んだ。
そこで何度も深呼吸をする。
……凛様だよね??
絶対凛様だって本能は告げているのに、私はもう一度片目だけで遠くに見える凛様を確認する。
……絶対、凛様だ。
とういか、何で私は隠れているの?
恋をし始めた乙女心は、自分でも先が読めないし理解できない。
そんな事をぼやきながら、私はまた片目だけ出して廊下の先に目をやった。
スマホを覗きこんでいる凛様は、素晴らしくスーツが似合っている。
普段がカジュアル系ファッションの凛様だから、この驚くほどのギャップに初々しい私の乙女心は完全に麻痺してしまった。
よせばいいのに、私は給湯室の陰からそんな凛様をいつまでも見続けた。
だって、目が離せられないんだもの。
ただただ感情に任せて凛様を見つめていると、案の定、凛様に見つかってしまった。
私は慌てて給湯室の奥に隠れたけれど、その時は後の祭り状態…
「やっと捕まった…」