私は強くない
「ん、おはよ…」

身体が痛い。
目が覚めた私は、何も身に付けていないその身体に圭輔さんの腕が絡んでいるのが、分かった。

そうだ、昨日の夜…

どうりで身体が痛いはず。
布団の中でモゾモゾしていると、その気配に目が覚めた圭輔さんが、絡み付けていた腕を強めた。

「ん、もう朝か?まだ足りないよ…慶都」

そう言いながら、首筋に顔を埋めた。
首から耳に唇を這わし、耳元で囁いた。

「慶都…時間…あるよな」

な、なんて…

「圭…、圭輔さん、時間ないからっ…」

まだもう一回、時間があるからと言う圭輔さんをなだめて、会社へ行く準備をした。

「そんな怒るなよ、慶都」

「…怒ってません。ただ…」

「ん?何?したかった?」

「もう!時間がある時にして下さいっ」

はっ、しまった。

「分かった。時間がある時にするよ。慶都が許してくれたからな」

「な、なっ…」

圭輔さんには勝てそうにないです。
私もそんな圭輔さんが、好きだから、愛してるから。

多分、こんな様子を見たら、美波は「定番のバカップルですね」って言われるんだろうな。

ふふふ。
ま、本当の事だからいいんだけど。

「何笑ってんの?面白い事でもあった?」

「ううん。圭輔さんの事好きだなぁ、って思ってたの」

満面の笑みで圭輔さんを見つめた。

「…ばっ、な、何朝から言ってるんだよ。恥ずかしいじゃないか」

珍しく、圭輔さんが照れていた。
可愛い。
不謹慎にも思ってしまった。

「さ、さぁ行こうか。とりあえず、都築に言いにいくから」

「……分かりました」

「じゃ、行くか」


そう言って、二人で家を出た。

会社に向かう間、圭輔さんは会社に着いたら、まず誰に伝えるかを話をしていた。

「報告したら、夜に蒼井に話するからな。俺が全部話するから」

「ん、分かった。圭輔さんに任せます」

二人で会社に向かった。


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