私は強くない
「っ、名取部長…す、すみません」

「いや、蒼井悪かったな。諦めるって言ったのは俺なのにな。だが、悪いがそれはやっぱり俺の役目だ」

いきなり現れた圭輔さんに、驚いて私は顔を上げた。

「また泣かせてしまったな。慶都。ごめんな」

私は首を振りながら、言葉にならない声を必死になって、出そうとしていた。

「俺がここに倉橋が来るから、って連絡したんだよ」

え?蒼井が…

「そうなんだ。蒼井から連絡をもらったんだ。俺も頭冷やしたかったから昨日は家に帰らなかったし。気にはしてたんだがな」

「ご、ごめんなさい。元はと言えば…私が悪いの…ごめんなさい」

「蒼井、助かったよ。ありがとう、明日から頼んだぞ?」

「いや、俺の方こそ申し訳ありませんでした。気持ちだけで突っ走ってしまったからってあんな事。倉橋に同期以上に見ていないっ言われた事に、早くに納得するべきでした。まだ気持ちの整理は出来ませんが、俺なりに考えていきます」

それだけ言うと、蒼井は帰って行った。

「圭輔さん…」

「とりあえず、帰ろうか?俺のせいだな顔色悪いぞ」

黙って頷き、圭輔さんの後をついて行った。




タクシーで家に戻ってきた私達。部屋に入ってすぐに圭輔さんに後ろから抱きしめられた。

「ごめんな。あんなに泣かせて、泣かせないって言ってたのに」

私は首を振った。
そんなことない、圭輔さんは悪くないと。

「私があんな事言ったから…圭輔さんは悪くないよ」

「いや、俺が悪いよ。もう離さないから…誰がなんと言おうと慶都を誰にも渡さない」

「っ…圭輔さん」

振り替えった私は圭輔さんの胸元に顔を埋めて泣いた。
もう離れない…

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