独占欲強めな御曹司は、ウブな婚約者を新妻に所望する
「誤解? 婚約者と会っていて何を誤解されるんだ?」
不機嫌な声で彼が返答する。形の良い眉が顰められる。

「……私は本当の婚約者じゃありません」
硬い声で否定する私。

「なんで?」
恐くなるくらいの低い声で彼が問い返す。声に微かに混じるイラ立ち。

どうしてそんなことを聞くの? 私に何を言わせたいの?
グッと無意識に唇を噛みしめる。彼の顔を直視できずに俯く。

「橙花、ちゃんと話してくれないとわからない」
焦れたように彼が私に尋ねる。その声に微かなイラ立ちを感じた。

「週刊誌を、読みました」
やっとの思いでゆっくりとその言葉を口にする。私の頭上で彼の溜め息が聞こえた。

「やっぱり誤解していたな」
はあ、と彼の形のいい唇から溜め息が漏れる。その言葉に彼が週刊誌の件を知っていたのだと悟る。身体が強張ってカッと顔が赤くなる。わかっていて言わせるなんて残酷すぎる。

「やっぱりって……!」
大声を上げかけた私の腕を、彼がグイッと引っ張る。

「こっちにこい」
「嫌です! それだけじゃない! 羽野チーフと一緒にスーパーマーケットにいる姿も見たの。ふたりで仲良く歩いていたじゃない。煌生さんが守りたい人はチーフなんでしょ? あの人が煌生さんの本当の婚約者なんでしょ?」

こんなことを言いたいわけじゃない。私に言う権利なんてない。言っちゃいけない。
わかっているのに止まらなかった。なんてみっともない私。

彼が驚いたように目を見開く。
そんな彼から顔を背けて、足を踏ん張って抵抗しようとする私に彼がさっきとは打って変わった小さな弱々しい声で囁く。

「頼むから説明をさせて、橙花」
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