独占欲強めな御曹司は、ウブな婚約者を新妻に所望する
「もうっ、陰気くさい顔をしていないで行くわよ!」
今日は金曜日。
相変わらず彼に会えない日を過ごしながら、いつものように仕事を終え、会社を出た私に突然、大きな声がかけられた。
「お、お姉ちゃん?」
なぜここに姉がいるのかわからない。今日、自宅を出るときには何も言っていなかったし、待ち合わせをした覚えもない。
私の前で仁王立ちしている姉は仕事帰りのようだ。可愛らしい顔に不似合いな不機嫌な表情を浮かべている。
「私、今から大輝くんの部屋に行くの。だから橙花ちゃんも一緒に行くのよ!」
意味の分からない言葉に思わず目が点になる。
一瞬怯んだ私を見逃さず、姉は私の腕を強引にとって、会社の前に停まっていたタクシーに無理矢理押し込んだ。
「ちょ、ちょっと待って、お姉ちゃん! なんで私がっ」
「なんで、じゃないわよ。毎日毎日泣きそうな顔して。片時も離さずにスマートフォンを握りしめて。会いたいんじゃないの?」
タクシーの中だからだろうか。姉は誰に、とは言わなかった。
「でも忙しいみたいだから……それにこんな時間に自宅にはいないと思うから……」
思いつく限りの言い訳を並べてしまう意気地のない私。
姉の肩ごしに夜の闇に包まれた街が流れていくのが見える。薄暗い車内の中、姉が私の左手を握った。
「彼が多忙なことは大輝くんから聞いてるわ。全然会えていないことも。でも彼は橙花ちゃんを拒否してるわけじゃないでしょ。時には理由も言い訳も考えずに、私のことを一番大事にしてって押し掛けることも大切よ」
むくれたように姉が言う。
「お姉ちゃん、私、私……」
姉の優しい言葉に胸の奥に押し込めた気持ちが溢れ出す。知らない間に涙が頬をつたっていた。
今日は金曜日。
相変わらず彼に会えない日を過ごしながら、いつものように仕事を終え、会社を出た私に突然、大きな声がかけられた。
「お、お姉ちゃん?」
なぜここに姉がいるのかわからない。今日、自宅を出るときには何も言っていなかったし、待ち合わせをした覚えもない。
私の前で仁王立ちしている姉は仕事帰りのようだ。可愛らしい顔に不似合いな不機嫌な表情を浮かべている。
「私、今から大輝くんの部屋に行くの。だから橙花ちゃんも一緒に行くのよ!」
意味の分からない言葉に思わず目が点になる。
一瞬怯んだ私を見逃さず、姉は私の腕を強引にとって、会社の前に停まっていたタクシーに無理矢理押し込んだ。
「ちょ、ちょっと待って、お姉ちゃん! なんで私がっ」
「なんで、じゃないわよ。毎日毎日泣きそうな顔して。片時も離さずにスマートフォンを握りしめて。会いたいんじゃないの?」
タクシーの中だからだろうか。姉は誰に、とは言わなかった。
「でも忙しいみたいだから……それにこんな時間に自宅にはいないと思うから……」
思いつく限りの言い訳を並べてしまう意気地のない私。
姉の肩ごしに夜の闇に包まれた街が流れていくのが見える。薄暗い車内の中、姉が私の左手を握った。
「彼が多忙なことは大輝くんから聞いてるわ。全然会えていないことも。でも彼は橙花ちゃんを拒否してるわけじゃないでしょ。時には理由も言い訳も考えずに、私のことを一番大事にしてって押し掛けることも大切よ」
むくれたように姉が言う。
「お姉ちゃん、私、私……」
姉の優しい言葉に胸の奥に押し込めた気持ちが溢れ出す。知らない間に涙が頬をつたっていた。