独占欲強めな御曹司は、ウブな婚約者を新妻に所望する
エレベーターを降りて合鍵をバッグから取り出す。緊張しているせいか、手が震えてしまう。疚しいことをしているわけではないのに。
いつの間にかこの合鍵は私のお守りのようになっていて、いつも持ち歩いていた。
いつでも来ていい、と彼には言われていたけれど、主が不在の部屋に勝手に入り込むことに気が引けて、今日までここを訪れたことはなかった。何よりも彼のいない部屋では余計に孤独感や不安を感じてしまいそうで恐かった。
カチャリと暗い部屋に私がドアを開ける音が響く。
そうっと足を踏み出した先に広がる真っ暗な廊下とリビング。訪れる静寂。予想通り、彼は帰宅していない。
そっとリビングの明かりをつける。以前私が訪ねた時よりも若干、物の配置が変わっていた。所々に彼が脱ぎ散らかしたワイシャツなどが置いてある。日頃からきちんとしている彼がこんな風に物を放り出すのは珍しい。余程忙しいのだろう。
彼のワイシャツを拾うと、微かに彼の香りがして胸が切なくなった。
偽物の婚約者の私がこんなふうに押しかけてよかったのかな……。
姉に励まされて盛り上がっていた気持ちが一気に萎んでいく。
姉みたいに真っ直ぐ堂々とぶつかってみると決めたのに、弱い私が顔を出す。
私には彼の力になれるようなこと、彼の将来に役に立つものは何ひとつ持っていない。
たまたまあの日ハーモニーガーデンに行って、あの人に出会った。始まりはただそれだけの奇跡みたいな小さな偶然。
そんな私が彼の特別になりたい、独占したいだなんて言っていいのだろうか。
だけど一方的に膨らんでいく思いはもう隠しようがなく、自分でもどうしようもない。
はじめての恋がこんなにも難しいものだったなんて思わなかった。初恋は実らない、とよく言われるけれどそうなってしまいそうで恐くてたまらない。
いつの間にかこの合鍵は私のお守りのようになっていて、いつも持ち歩いていた。
いつでも来ていい、と彼には言われていたけれど、主が不在の部屋に勝手に入り込むことに気が引けて、今日までここを訪れたことはなかった。何よりも彼のいない部屋では余計に孤独感や不安を感じてしまいそうで恐かった。
カチャリと暗い部屋に私がドアを開ける音が響く。
そうっと足を踏み出した先に広がる真っ暗な廊下とリビング。訪れる静寂。予想通り、彼は帰宅していない。
そっとリビングの明かりをつける。以前私が訪ねた時よりも若干、物の配置が変わっていた。所々に彼が脱ぎ散らかしたワイシャツなどが置いてある。日頃からきちんとしている彼がこんな風に物を放り出すのは珍しい。余程忙しいのだろう。
彼のワイシャツを拾うと、微かに彼の香りがして胸が切なくなった。
偽物の婚約者の私がこんなふうに押しかけてよかったのかな……。
姉に励まされて盛り上がっていた気持ちが一気に萎んでいく。
姉みたいに真っ直ぐ堂々とぶつかってみると決めたのに、弱い私が顔を出す。
私には彼の力になれるようなこと、彼の将来に役に立つものは何ひとつ持っていない。
たまたまあの日ハーモニーガーデンに行って、あの人に出会った。始まりはただそれだけの奇跡みたいな小さな偶然。
そんな私が彼の特別になりたい、独占したいだなんて言っていいのだろうか。
だけど一方的に膨らんでいく思いはもう隠しようがなく、自分でもどうしようもない。
はじめての恋がこんなにも難しいものだったなんて思わなかった。初恋は実らない、とよく言われるけれどそうなってしまいそうで恐くてたまらない。