独占欲強めな御曹司は、ウブな婚約者を新妻に所望する
「嫌だ、反対なんてしないわよ。こんな頑固な息子のお嫁さんになってくださるんですもの。ありがたいわ」
大輝さんの言葉を一蹴する夫人。

「生涯を共にする結婚相手は自分で選びなさいって散々教えてきたからね。私たちが反対する理由はない」
社長が満足そうに言う。

「わかった、橙花?」
甘く私の名前を呼んで、彼が私の肩を抱いた。

「息子をよろしくお願いします」
社長が笑って言う。
胸がいっぱいになり、涙で視界が滲む。

「私のほうこそ、どうぞよろしくお願いいたします。至らないことも、不十分なことも多々ありますが、今後精一杯努力いたします」
震える声で頭を下げながら言う私の両手がそっと温かい女性の手に包まれた。

「そんなにかしこまらないで。私たちは家族になるんですもの。仲良くなりたいわ」
微笑んでくださる夫人の心遣いが嬉しくて涙が零れた。

「次は大輝だろ?」
煌生さんが大輝さんを見て言う。大輝さんは満面の笑みを浮かべて頷く。その姿を見て私は驚いて口を開く。彼がふたりの前で言葉にしたのは初めてだ。

「煌生さん、姉のこと!」
「認めてるよ……ふたりの仲は。お互いがお互いを支え合っている姿を十分見せてもらったから。今回も助けてくれてありがとう。改めて礼を言う」
そう言って煌生さんが大輝さんと姉に頭を下げた。

「礼なんかいらないよ。困ったときはお互い様だろ?」
大輝さんが照れ隠しのように笑う。姉は目を真っ赤にして涙ぐんでいる。社長夫妻も嬉しそうに微笑んでいる。
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