独占欲強めな御曹司は、ウブな婚約者を新妻に所望する
「煌生さん、ありがとうございます……!」
肩を抱かれながら、彼を見上げると彼は紅茶色の瞳を優しく細めた。長い指で彼が私の涙をそっと拭ってくれた。

「俺が橙花に出会って、幸せと愛しさを教えてもらったように、大輝にとって紫さんは運命の相手なんだってわかったから」
彼の言葉がとても嬉しい。本格的に泣き出してしまった姉に、私は祝福の言葉を贈る。

「お姉ちゃん、おめでとう……!」
「……ありがとう……」
姉の肩を抱いて、大輝さんが姉を落ち着かせる。
ああ、今日はなんて幸せな日なんだろう。

ふいに煌生さんが私の肩から手を離し、大輝さんに近づく。大輝さんも何かを察したのか、どことなく緊張した様子で姉の肩から手を離し、煌生さんと向き合う。

「大輝、これからは俺と一緒にウェディング事業もほかの事業も一緒に取り組んで欲しい」
煌生さんが真剣な表情で大輝さんに話しかける。大輝さんはハッとした表情を浮かべ、嬉しそうに頷いた。

「もちろん。これからもよろしく」
そう言ってふたりの素敵な兄弟はガッチリ握手をした。
私はそんなふたりの姿をほんの少し離れた場所で姉と肩を並べて見つめていた。

「……仲良しだね。よかったね」
ポツリと呟く私。

「私たちもこれから喧嘩しても、ずっと仲良くいましょうね」
姉が小さな声で囁く。お互いに顔を見合わせクスッと微笑みあった。

その時、また軽快なノックの音が控え室に響く。
社長が返事をする。

「失礼します」
ドアが開かれ、柿元さんの姿が見えた。

「お着きになられました」
いつもと変わらない落ち着いた様子で、柿元さんが口を開く。

「そうか、それは良かった! お待たせしてはいけない。煌生、早く行きなさい」
社長が煌生さんに声をかける。頷いた煌生さんが私のほうにやって来る。
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