アイラブ☆吾が君 ~恋する淑女は、十二単で夢を舞う~
アラキは三十九歳。洸のちょうど十歳年上だ。

彼はいつも笑ったような優し気な目と口元をしている。低くてやわらかな声は耳に心地よく響き、スマートな身のこなしはどこか控えめだ。

一見おっとりとして見えるが、“西園寺のマダムキラー”と影で呼ばれるだけあって、実は全てに渡って抜け目がない。

身長も180はある洸よりもさらに3センチほど高かった。
執事ではあるが、洸にとってアラキは兄のような存在である。

「それで? 相当お疲れとか」

クスクスとアラキが笑う。

ついさっき耳にした飛香の電話の内容からの発言だが、洸が疲れたなどと彼女に言うはずはないし、やすやすと疲れを表に出す洸ではないはずだ。

話の流れからついた嘘なら別だが、もし本当に彼女がそう思ったのだとすれば相当勘が良いか、洸がつくろえないほど疲れていたか、そのどちらかということになる。

「まぁ、本当に疲れたけどね」

洸は憮然としてそう答えた。

だからと言って、あんな風に気を使われるのは意外だと、ひそめた眉が語っている。
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