アイラブ☆吾が君 ~恋する淑女は、十二単で夢を舞う~
展示物を見つめている飛香の瞳を見つめながら、ゆっくりと洸が近づくと、気配に気づいた飛香が振り返った。

にっこりと笑った瞬間、横顔から垣間見えたはずの悲哀とかそういうものが、あどけなく明るい笑みの中に隠れて消えてゆく。

「十二単か、こんなに沢山着て重たかっただろうね」

「ええ、髪も長くて重たいですしね」

洸は飛香を振り返った。

「平安時代のどんなところが好きなの?」

うーん、と考えた飛香は、「よくわかりません……」とキュッと口を結んだ。

頭の中で『飛香の日記』を思い出して考えたが、当の飛香がどうしてこんなに平安時代に憧れるのかわからないと書いている。

「どうしてなんでしょうね、自分でもよくわからないんです。ただ無性に惹かれるんですよね」

「このガラスをすり抜けて、向こうの世界に行ってしまいそうに見えた」
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