アイラブ☆吾が君 ~恋する淑女は、十二単で夢を舞う~
アラキがサワの話にゆっくりと頷いていた頃、
洸と飛香は博物館近くの日本料理店にいた。
通された個室は畳の匂いがする和室で、外の喧騒を忘れさせる静かな空間である。
背景に流れるのは琴の音。
これが先週のことならばただそれだけのことで、洸の耳には何も響かなかっただろう。
でも今日は違う。
洸は、琴の音に耳を傾けた。
西園寺邸に飛香が来てから、邸には時折琴の音が響いている。
飛香は琴が弾けると聞いた夫人が、しまい込んでいた琴をとりだし飛香にすすめたからだ。
飛香もまた、瞼を閉じて耳を澄ませている。
――君が弾く琴には到底及ばないな。
口には出さないが、洸はそんなことを思った。
それは率直な本心である。
「夕べ弾いていた曲は、なんて言うの?」
「――曲名は」と言いかけた飛香は、そのまま言い淀んだ。
洸と飛香は博物館近くの日本料理店にいた。
通された個室は畳の匂いがする和室で、外の喧騒を忘れさせる静かな空間である。
背景に流れるのは琴の音。
これが先週のことならばただそれだけのことで、洸の耳には何も響かなかっただろう。
でも今日は違う。
洸は、琴の音に耳を傾けた。
西園寺邸に飛香が来てから、邸には時折琴の音が響いている。
飛香は琴が弾けると聞いた夫人が、しまい込んでいた琴をとりだし飛香にすすめたからだ。
飛香もまた、瞼を閉じて耳を澄ませている。
――君が弾く琴には到底及ばないな。
口には出さないが、洸はそんなことを思った。
それは率直な本心である。
「夕べ弾いていた曲は、なんて言うの?」
「――曲名は」と言いかけた飛香は、そのまま言い淀んだ。