アイラブ☆吾が君 ~恋する淑女は、十二単で夢を舞う~
「洸さん、これは何ですか? 食べられるんですよね」
「ん? ああ、麩だよ。かわいいけど飾りじゃないから食べて大丈夫。ねぇ飛香、行きたいところはない?」
「いえ、もう充分です。本当に楽しかったです。ありがとうございました」
「あはは。なに言ってんの。それじゃあもう一日が終わったみたいじゃないか」
「ええ、でも」
洸さん、疲れているんじゃ? と飛香が言えば、洸はこのまま帰ろうかと思った。
既に疲れは吹き飛んでいるし帰りたいわけじゃないが、なんとなくだ。
でも飛香は、そうは言わない。
「私、少し疲れました」と、軽いため息をつく。
でも、洸の目にはそんな風には見えない。
百パーセントの遠慮がそこにある。
「本当に? でも飛香、大丈夫だよ、車を呼んだから。車の中で休めばいい。どこかない? 行きたいところ」
俯いて、唇を噛みながら少し悩んだ飛香は、遠慮がちに口を開いた。
「――それじゃ。あの、海がみたいです」
平安の都にいた頃は、一度も見たことがなかった海。
この時代に来て、一度だけ兄に連れて行ってもらって見に行ったことがあるが、どこまでも続く水平線の景色と、潮の香りを忘れられないでいる。
「ん? ああ、麩だよ。かわいいけど飾りじゃないから食べて大丈夫。ねぇ飛香、行きたいところはない?」
「いえ、もう充分です。本当に楽しかったです。ありがとうございました」
「あはは。なに言ってんの。それじゃあもう一日が終わったみたいじゃないか」
「ええ、でも」
洸さん、疲れているんじゃ? と飛香が言えば、洸はこのまま帰ろうかと思った。
既に疲れは吹き飛んでいるし帰りたいわけじゃないが、なんとなくだ。
でも飛香は、そうは言わない。
「私、少し疲れました」と、軽いため息をつく。
でも、洸の目にはそんな風には見えない。
百パーセントの遠慮がそこにある。
「本当に? でも飛香、大丈夫だよ、車を呼んだから。車の中で休めばいい。どこかない? 行きたいところ」
俯いて、唇を噛みながら少し悩んだ飛香は、遠慮がちに口を開いた。
「――それじゃ。あの、海がみたいです」
平安の都にいた頃は、一度も見たことがなかった海。
この時代に来て、一度だけ兄に連れて行ってもらって見に行ったことがあるが、どこまでも続く水平線の景色と、潮の香りを忘れられないでいる。