アイラブ☆吾が君 ~恋する淑女は、十二単で夢を舞う~
少しの間ぼんやりとして、気を取り直しまた筆を取った。

今日は、書き留めておかなければいけないことが沢山ある。

博物館でのこと。
靴擦れに気づいた洸が、楽に歩ける靴を買ってくれたこと。
車で移動して向かった海のこと。水平線が見渡せるカフェに行ったことなど。

時間をかけてゆっくりと記した。

途中、読み返しながらあらためて思う。

――退屈だっただろうな。
気の利いた話もできず世話ばかりかかる私なんかとふたりきりで。

申し訳なさでいっぱいになりながらため息をついた飛香は、最後にこう記した。

『西園寺洸さんはとても素敵な人だ。
 ただ、彼は勘がいい人なのでそれだけが心配です。本当はもっと距離をおいた関係のままがよかったのですが、やはり西園寺邸にお世話になる以上、接点が増えるのは仕方ないようです。
 お世話になってばかりで心苦しいですが、このお屋敷にいる間だけ甘えさせていただこうと思います。そう心に決めてしまえば、まるでこの世界にもうひとりの兄ができたようでとてもうれしいです』
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