アイラブ☆吾が君 ~恋する淑女は、十二単で夢を舞う~
「ええ」と頷きながら、飛香は西園寺邸での生活をよくよく思い出してみた。
平日の朝九時なら、既に出勤しているため洸は邸にいない。そして彼の帰宅は早くても夜の七時だ。となると顔を合わせる機会はない。

「昼間だけなんですね?」

「ああ、残業はない」

――それなら大丈夫。

「はい。アラキさんの元でがんばりたいと思います」

そう答えた途端、胸の奥にいた洸が、にんまりと笑った気がした。

跪いて手にキスをされた時、思わず心が震えた。
西園寺家を出る日、熱を出して休んでいる彼にお別れを告げた時、もしあのまま彼の手が伸びていたらどうなっていただろう?
先にお見合いをして結婚すると聞いていなかったら、うっかり好きになってしまったかもしれないと、怖くなる。

――もしかして。

彼は、他の女性たち対していつもああなのだろうか?

「お兄さま、洸さんてモテますよね?」

「ん? ああ、モテない理由がないからね」
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