アイラブ☆吾が君 ~恋する淑女は、十二単で夢を舞う~
「彼のお母さまが『洸には恋人がいない』と嘆いていましたけど、もしかして洸さんって遊び人なんですか?」

「いや、それはないだろう。
むしろ、恋人とかガールフレンドとか、わずらわしいと思うほうだから」

碧斗が知る限りナンパはもちろんだが洸が遊び目的で女の子を誘ったことはないし、聞いたこともない。
一緒に飲んで騒ぐくらいならあるだろうが、それはあくまで公なパーティでのことだ。ろくでなしの同級生が洸の名前を出して女の子を誘い出そうとしても『西園寺さんがあなたと付き合うはずがない』と簡単に見破られるほどに洸の守りは潔癖だった。

そういった素行の良さを知っているからこそ、飛香を西園寺家に預けたのである。

「なに、どうかした?」

「ううん、なんかちょっと不思議だと思っただけ」

――だとしたら、私をからかっている?

『たとえば、僕のお嫁さんになるっていうのはどう?』
あれはやはり冗談なのだろう。

皮肉めいたことを言う時の、洸のニヤリとした笑みを思い出す。
その笑顔で『飛香は純情だな』そんなことを言う洸を想像し、飛香はその手にはのらないぞと、心に誓うのだった。
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