アイラブ☆吾が君 ~恋する淑女は、十二単で夢を舞う~

「飛香さんはいつから西園寺家に?」

「今日から」

「えっ、それは、随分早いですね」

早退するとか言い出すのだろうか?と想像し、いやいやまさかと軽く心の中で笑ってみた鈴木だったが――。

「常務、今日の昼食はどうしましょう? K社との打ち合わせは一時半からですし」

「お昼家に帰ろうと思うんだ。ちょっと忘れ物があってね」

――え?
冗談のように予想が当たり、心の中で絶句する。

忘れ物とは一体何なんですか? と聞きたい気持ちを飲みこんだ。

「ではご一緒させて頂いてもよろしいでしょうか、そのままK社に向かいましょう」

「ああ、そうだね。そうしよう」

こうなっては、見張るくらいの覚悟でいなければいけないかもしれないと、鈴木は気を引き締めた。
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