アイラブ☆吾が君 ~恋する淑女は、十二単で夢を舞う~
もしかすると自分は、どこかで彼を信じきれていなかったのかもしれない。
どんな状況にあっても、彼が己の幸せのために他をないがしろにすることなど、あるはずがないのに。

――自分は恋人と過ごす安らかな時間を手に入れておきながら、秘書として失格だな。

「洸さまは、自分の幸せについて無関心が過ぎます。気をつけていないと、孤独の沼に沈んでしまうかもしれません。常に愛情をもって包み込んでくれる心温かな優しい女性が必要です」

「――そうですね、常務には弱さを知った上で強くあって頂きたいです」

「あはは。その通り、少なくとも女性の一人も愛せないようでは話になりません」
そう言って、アラキは楽しそうに笑った。
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