アイラブ☆吾が君 ~恋する淑女は、十二単で夢を舞う~
「飛香……」
名前を呼ばれて振り返ってしまったら最後、もう溢れる想いに逆らえなかった。

「誕生日を一緒に迎えてほしい」

――そう言われて抱き寄せる腕を、どうして振りほどくことができるだろう。

こんなに好きなのに……。


悪いのは洸さんじゃない。そうしたかったのは自分。
だから、離れた唇を追いかけるように、泣きながら言った。

「帰りたく、ない」

――好きなんです。


大好きなんです。洸さん。


ごめんなさいアスカ。
好きなの。

私、洸さんのことが好き。

この想いは、荘園の君への淡い初恋とは違う。
あの気持ちは幻想にも似た憧れだったと、今ならわかる。

今のこの、身を焦がすような熱い想いを何と表現したらいいのかはわからない。強いて言うならば、これも『恋』だ。

苦しいほどの恋情。

ごめん。ごめんなさいアスカ。
あなたの体に傷を残してしまうことになるかもしれないけど、でも。もし私が平安の都に帰ることになったとしても、この想い出だけを胸に生きていける。

だから許して、許してね――。
そう何度もあやまった。
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