アイラブ☆吾が君 ~恋する淑女は、十二単で夢を舞う~
ーーかつて、こんな彼を見たことがあるだろうか。
皮肉のひとつも交えながら、当然反論してくるものと思っていた。それがどうしたことか申し訳なかったと言った彼は、いたって真面目な顔をして書類に目を落としている。
ーー彼女と上手くいっていないのだろうか?
秘書とはいえ、プライベートの洸の身に何が起きているかはわからない。だが、ため息の理由が彼女であることは容易に想像できる。なぜなら基本的に陽気な彼は、それ以外のことでそんな風に落ち込んだりしないからだ。
ーー一体なにがあったのだろう?
先週誕生日である月曜に彼は休みを取ったが、火曜日には変わらぬ様子で出勤し、いつものように精力的に仕事をこなした。
様子がおかしいと思い始めたのは、それから一週間ほど過ぎたあたりだろうか。
彼は時折ぼんやりと、外を見つめていることがある。
コーヒーを飲みながら洸が外を見つめるのはいつもの事だが、普段の彼はそんな時でも鋭さを失ったりはしなかった。たとえ彼が唯一気を抜けるこの常務室においてもだ。
――それでも軽口を叩いているうちは、なんの心配もなかったが……。
「何か私に協力できることがあればおっしゃってください」
鈴木は心からそう言ってみたが、洸は、ありがとうと答えただけだった。
皮肉のひとつも交えながら、当然反論してくるものと思っていた。それがどうしたことか申し訳なかったと言った彼は、いたって真面目な顔をして書類に目を落としている。
ーー彼女と上手くいっていないのだろうか?
秘書とはいえ、プライベートの洸の身に何が起きているかはわからない。だが、ため息の理由が彼女であることは容易に想像できる。なぜなら基本的に陽気な彼は、それ以外のことでそんな風に落ち込んだりしないからだ。
ーー一体なにがあったのだろう?
先週誕生日である月曜に彼は休みを取ったが、火曜日には変わらぬ様子で出勤し、いつものように精力的に仕事をこなした。
様子がおかしいと思い始めたのは、それから一週間ほど過ぎたあたりだろうか。
彼は時折ぼんやりと、外を見つめていることがある。
コーヒーを飲みながら洸が外を見つめるのはいつもの事だが、普段の彼はそんな時でも鋭さを失ったりはしなかった。たとえ彼が唯一気を抜けるこの常務室においてもだ。
――それでも軽口を叩いているうちは、なんの心配もなかったが……。
「何か私に協力できることがあればおっしゃってください」
鈴木は心からそう言ってみたが、洸は、ありがとうと答えただけだった。