アイラブ☆吾が君 ~恋する淑女は、十二単で夢を舞う~
ピンポン。ピンポン。ピンポン。

立て続けにインターホンを押しまくると、ムッとして碧斗が現れた。

「なんなんだいったい。飛香ならいないぞ」

「お前に話がある」

溜息をついた碧斗が洸に入るよう促した。

「で、なんだ?」

「お前はわかってるんだろう? わかっていてどうして反対するんだ」

「何を言ってるんだ?」

「しらばっくれるな。平安時代のアスカがどう思っているかなんて、お前ならわかっていて当然じゃないか。なのにどうして十月まで飛香を待たせるんだ。
 言え、平安時代のアスカは今誰とどうしてる?」

ツンと横を向いた碧斗を無視して、洸はずかずかと奥へ入っていく。
「洸!」

向かった先は小さな和室。青銅の鏡がある部屋だ。

「やめろ! 洸」

「どけっ」

鏡を覆う布を外すと、洸は鏡に向かって叫んだ。
「アオト! 出て来い。そこにいるんだろう!」

「やめろ、無理だ」

碧斗が呆れたようにため息をつくが、洸はやめない。

「兄だからって、妹を悲しませて許されるのか! お前は知っているんだろう? どうして事実を飛香に教えてあげないんだっ!」

ため息をつきながら碧斗が言う。
「その事実がお前の希望通りじゃなくてもか?」

洸は不敵に笑った。

「西園寺洸を舐めるなよ」
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