アイラブ☆吾が君 ~恋する淑女は、十二単で夢を舞う~
「那須にいるんだってね」

「はい」

「こっちの家にはあまり来ないの? 確か青山に華道の本部にもなっているマンションがあったよね?」

「はい。時々……」

「那須のほうはどう? 夏も涼しいでしょう」

「はい」

おい! と洸は心の中で突っ込みをいれた。

――『はい』しか言えないのか? 君は!
まったくもって会話がキャッチボールにならない。投げたボールはことごとくかわされる。

胸の内でため息をついた。

――なんなんだ。

相手が自分でなければ普通に話をすることは、ついさっきまで洸の母と彼女との会話で明らかである。

ということは、相手が男だからということなのか?

――男が苦手とか? 恥じらうにしても度が過ぎないか?

例えばまわりが女性しかいない環境にいるならわからなくもない。が、彼女には兄がいる。
ピクリと洸の目元が歪んだ。

――迷惑なのか?
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