アイラブ☆吾が君 ~恋する淑女は、十二単で夢を舞う~
「え? 百人一首って……あの? 和歌の?」

どこか思い詰めたような目をして、飛香はまっすぐに洸を見つめている。

「はい」

意表をつく突然の問いに驚いたせいか、洸の頭の中は真っ白だ。
百人一首を知らないわけではないが何一つ浮かんでこない。

「えっと……」

「あ、すみません。気にしないでください! 突然そんなことを言われても困りますよね」

焦ったようにまくしたてた飛香は、瞼を落として薄く微笑んだ。

「私、記憶が曖昧なんです。ただ、平安時代のことはとても好きだったらしくよく覚えていて。変ですよね。驚かせてしまって本当にごめんなさい」

突然のその告白は洸を困惑させた。
気にしないでとは言ったものの、続く言葉を見つけられない。

「いや、うん……まぁ、その、自分の家だと思って、気楽にしてね」

こんな風に口ごもることは、どんな状況であれ機転の利く洸にしては珍しいことで、あるいはワインを飲みすぎていたのかもしれなかった。
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