アイラブ☆吾が君 ~恋する淑女は、十二単で夢を舞う~
「私、今から急用ができて出かけることになったのよ。加賀にいる友人が入院したらしいの」

「あ、そう。それは大変だ」と答える洸に、その先を言わせず夫人はピシャリと言った。

「そういうわけだから、私の代わりに飛香ちゃんをどこかに連れて行ってあげなさい」

「は? どうして僕が? サワは?」

「サワには別に頼んであることがあるの。たまにはあなたが連れ出してあげなさいよ。わかったわね」

「いや、ちょっと待って僕は」

これから軽井沢に行くと言おうとしたが、早くも背を向けて歩き出した夫人はクルッと振り返り「い・い・わ・ね」と釘を刺すと足早に廊下を進んでいく。
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