アイラブ☆吾が君 ~恋する淑女は、十二単で夢を舞う~
博物館に行くこと以外は何も決めていない。
どこで食事をするかもだ。

気が向くまま店に入り、食べた物が美味しければそれで良し。もし口に合わなかったとしてもそれはそれとして飛香の経験のひとつにすればいい。
そう思いながら、洸は早速、朝食をとる店を探しにかかった。

――飛香が好きそうなもの。

そんなことを思いながら、目に留まったモーニングセットの看板の前に立ち止まった。
見本の写真には、野菜やら何やらが挟まった分厚いサンドイッチが写っている。彩りがいいことから、なんとなく飛香が好きそうだと思った。

「これにする?」

高速で「はいはい」と二度頷く飛香の満面の笑みにつられて、洸は思わず笑った。

あどけない笑顔だ。
相変わらず飛香の返事は『はい』が多い。それでも声の響きには変化があるし、なにしろ会話が続くようになっていた。

それは、少なからず飛香が洸に心を開いてきたという証拠になるのだろう。

――今日は一日、子守りに徹するか。
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