きみと1番目の恋

エレベーターに乗り込むと
誰かの手が伸びてきて
私は慌てて扉を開けた。

武彦「翼、会いたかった。」

武彦と会社で会うのは随分と珍しい。

ほろ苦いタバコの残り香。
温かい体温。優しく頭を
撫でる細長い指。
全身に毒が回ったかのように
身動きが取れなくなる。

エレベーターが5階に着く前に
武彦は私にキスをした。

ーチンッ

武彦「仕事頑張れ!」

閉まりかける扉を超え
抱き着いてしまいたかった。
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