きみと1番目の恋

郁人「俺、すげぇ悔しい。」

郁人くんの言葉は
毎日のように聞いていたのに
何だか懐かしく思えたのは
今日の彼が少し子供みたい
だったからかもしれない。

郁人「毎日、翼さんが泣いてる事
本当はずっと知ってた。
知ってたからわざと物音を
立てないように家に帰ってきて
その泣き声を聞きながら
ずっとここにいた。何か言葉を。
翼さんを励ます気の利いた言葉を
かけなきゃって毎日考えてて
でも何も言えない事、分かってて
わざとその話題を避けてたんだ。」

郁人くんの言う通り
あの日から私たちは子供の話は
しなかった。
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