きみと1番目の恋
翼「...私も...分からないの。」
きっと、また私は郁人くんに
乗せられた。空気を作る事に
長けている彼に乗せられた。
郁人「何が分からないの?」
翼「初めてこのお腹に
赤ちゃんがやってきた時
私のお腹の中に郁人くんとの間に出来た
新しい生命があるんだと思うと
本当に嬉しかった。
でも、新しい職場にようやく慣れて
これからって時に妊娠なんて...って
思う自分もいて...心の底から
喜ぶ事が出来なかった。だから
赤ちゃんの命を奪ってしまった。
そう思ったから、何度かの死産を
繰り返して、赤ちゃんのエコー写真を見た時
前みたいな風には思わないでおこうって
思って仕事も辞めて自分なりに頑張って
お腹の中で赤ちゃんを育ててるつもり
だったのに...結局ダメだった。」
でも、それでいい。
出来る事なら私は昔の私たちに戻りたい。