真の魔性の女は、色気がない
やがて、注文したパスタとサラダが運ばれてきて、早速食べていると、店内が騒がしくなってきた。
聞き馴染みのある声が聞こえた。
しかも、自分の名前も聞こえる。
真後ろの席からだ。
「大島から、三十万貰ったの?」
「まぁ、保険会社から、搭乗者の方への慰謝料として、貰ったお金だからって、言われて・・」
ミエちゃんだ。
ミエちゃんが、仲のいいガイドと来ているらしい。
「えー、ラッキーじゃん、ミエちゃん。」
「えー、でも、ちょっと怖いかも。」
「まぁ、確かに。三十万は引くよね。なんか、大島の本気が伝わってきて怖い。相場なんてわからないけど、4~5万くらいが、妥当だよね。」
「やっぱり、大島君って、そうなのかな?」
「そうなんじゃないの?この際付き合っちゃえば?加藤さんともやって無いんでしょ?」
「そうなんだけど、大島君は、そういうんじゃないんだよね。」