一途な御曹司と極あま初夜事情~クールな彼は独占欲の塊でした~
どきん!!
思わず、目を疑った。確かに、悪いが私はまったく覚えていない。
しかし、重要なのはそこではない。
“僕が一目惚れしただけなのでーー…”
「うそ、でしょう…?」
つい、ぽろり、と声が漏れた。
ありえない。そんな昔から…。というよりも、ちょろい。ちょろすぎるだろう、樹さん。
その自覚はあるようだったが、まだ私には信じられない。大して可愛くもない私に、一目惚れだなんて。
その時、かつての樹さんの声が頭に響く。
『いつも笑顔で、気配りが出来る子。…俺、美香みたいな子が好きだよ。』
(ぬあーっ!!!)
思わず、心の中で叫んだ私。
たしかに、好きなタイプを語った時、彼はそう言っていた。あの時は冗談だと思って受け流していたが、さりげないアピールだったのか?それとも、まさか、私が過去のことを覚えていないか探りを入れたのか?
どっちにしろ、相当恥ずかしい。あの発言は、彼にとって決死の口説き文句だったのだ。
その時、ふと如月さんが小さく呟く。
「そういえば、僕も一度樹に誘われて、美香ちゃんのカフェに行ったことがあるんだよ。」
「え!」
爆弾発言を放った彼は、苦笑しながら続けた。
「樹ってば、ストーカーになるから頻繁には来れない。仕事がうまくいったときだけご褒美で来る、とか言っててさ。…試写会の夜、美香ちゃんに声をかけたのも、その頃からずっと樹の話を聞いていたからだったんだよ。」
なんということだ。
今、やっと如月さんと私を繋いでいたものの正体が分かった。樹さんに聞いた時ははぐらかされたが、そういうことだったのか。
雑誌のインタビューはまだ続き、所々に、彼女は〜…、というワードが入っている。
(もう…!い、樹さん、私のこと喋りすぎでしょう…!ほとんど惚気話じゃない…っ!)