一途な御曹司と極あま初夜事情~クールな彼は独占欲の塊でした~

ふわっ。


その時。樹さんが私と目線を合わせるようにかがんだ。


「大丈夫…?」


その声は、まるで幼い子どもをあやすようだ。


「ちょっと、一息つこうか。せっかく用意して待ってくれてたんだから。」


樹さんは、穏やかに呟いて、ばさり、とジャケットを脱いだ。ネクタイをしゅるり、と緩め、優しく微笑む彼だが、私はぎこちなく頷くことしか出来なかった。


**


カチャ…。


コーヒーカップに注がれたカフェラテ。

形のいい唇でカップに口をつけた彼の喉仏が、こくり、と上下する。


「…美味しい…」


「よかったです。」


ふわり、と笑った彼に笑い返す私。

さっきまでの空気はどこへいったのやら。彼にとって、こういう衝突は日常茶飯事なのかもしれないが。


「ちょっと落ち着いた…?」


彼の問いに、こくり、と頷く。

隣に座った彼と、トン、と肩が触れた。甘い予感とともに顔を上げると、綺麗な瞳が愛おしげに私を見つめている。


…ちゅ。


ついばむような優しいキス。ふわりと香る彼の香水に、心がきゅっ、とした。


「…あ。ごめん。苦かった?」


「…!いえ、平気です…!」

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