一途な御曹司と極あま初夜事情~クールな彼は独占欲の塊でした~
ふわっ。
その時。樹さんが私と目線を合わせるようにかがんだ。
「大丈夫…?」
その声は、まるで幼い子どもをあやすようだ。
「ちょっと、一息つこうか。せっかく用意して待ってくれてたんだから。」
樹さんは、穏やかに呟いて、ばさり、とジャケットを脱いだ。ネクタイをしゅるり、と緩め、優しく微笑む彼だが、私はぎこちなく頷くことしか出来なかった。
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カチャ…。
コーヒーカップに注がれたカフェラテ。
形のいい唇でカップに口をつけた彼の喉仏が、こくり、と上下する。
「…美味しい…」
「よかったです。」
ふわり、と笑った彼に笑い返す私。
さっきまでの空気はどこへいったのやら。彼にとって、こういう衝突は日常茶飯事なのかもしれないが。
「ちょっと落ち着いた…?」
彼の問いに、こくり、と頷く。
隣に座った彼と、トン、と肩が触れた。甘い予感とともに顔を上げると、綺麗な瞳が愛おしげに私を見つめている。
…ちゅ。
ついばむような優しいキス。ふわりと香る彼の香水に、心がきゅっ、とした。
「…あ。ごめん。苦かった?」
「…!いえ、平気です…!」