一途な御曹司と極あま初夜事情~クールな彼は独占欲の塊でした~
ドッ!!
マンションの前に張り込んでいた様子のマスコミが、一気に押し寄せた。あっという間に彼らに囲まれ、テレビカメラが向けられる。
(ぜ、全国放送?!待って待って!映さないでぇ!!)
こんな慌ただしい朝は初めてだ。間髪入れず次々と飛んでくる質問に、頭がガンガンする。
私は生まれてから二十六年間、マイクを向けられたこともテレビに映ったこともない。イコール、取材の受け答えの仕方がわからない。下手に何かを口走ると、とんでもない事態に発展しそうだ。
「す、すみません!通してください!」
逃げる作戦に出て報道陣をかき分けて進もうとしたものの、行く手を阻まれて身動きが取れない。
(どうすればいいの…?!)
と、その時だった。
ぱしっ!
不意に、手を取られた。びくり!と震えて顔を上げると、そこにいたのはスーツを着こなした眼鏡の男性。その胸元にはランコントルホテルの社員バッジが付いている。
(え…っ!)
はっ、としたその時。男性はキリッとした口調で私に告げた。
「桜庭 美香さんですね。私は、久我マネージャーの秘書兼付き人をしております、桐生(きりゅう)です。さ、近くに車を停めてあるので早くこちらへ。」
「!」