一途な御曹司と極あま初夜事情~クールな彼は独占欲の塊でした~
ダークスーツに、スッキリとした目元。先日、唯との会話に出てきた同期の彼は書類を片手に壁に寄りかかっていたが、私を見た瞬間、目を見開いた。
なんとなく気まずい空気の中、エレベーターに乗り込む。
「桜庭、何階?」
「…あ、三階。」
ボタンを押すと、静かに扉が閉まった。二人っきりの空間。静寂を破ったのは、瀬戸だった。
「朝からリムジン乗り付けて出勤とか、やるじゃん。」
「!み、見てたの?」
「おー。」
ぶっきらぼうな返事。特に気にも留めていないような瀬戸の態度に、少し緊張が和らぐ。
瀬戸は、静かに口を開いた。
「いつから付き合ってんの?お前、彼氏いただろ。」
「振られたの。…えっと…唯から何も聞いてない?」
「別に。」
彼の声のトーンからして、本当に何も聞いていないようだ。
まぁ、自分から、彼氏に振られた夜に見知らぬ男とホテルで一夜を過ごした、と言うつもりはない。
さらにその男が久我さんだった、なんて、唯が聞いても卒倒するだろう。
チーン。
三階に着き、エレベーターの明かりが灯った。ゆっくりと開く扉。
その時。目を細めた瀬戸が、からかうように言った。
「あの男のキス、どーだった?」
「はっ?!!」