一途な御曹司と極あま初夜事情~クールな彼は独占欲の塊でした~
知らないところで話題に上がっていた件を問い詰める。すると、一瞬目を見開いた彼は、わずかにまつげを伏せて呟いた。
「…樹。」
「え?」
「樹、でしょ?」
誘導尋問のように紡がれた言葉。やけに色香がある声のトーンに、どきん、とする。
ざわざわとする胸を押さえ、私はぎこちなく彼の名を呼んだ。
「樹…、さん。教えてください。」
渾身の上目遣い。
すると、満足げに、ふっ、と微笑んだ彼は、ジャケットを翻して歩き出した。
「さぁね。忘れちゃった。」
「な…っ!」
かぁっ!と赤くなる私。確信犯の笑みを浮かべる御曹司を、キッ、と睨む。
またはめられた…!
ひらひらと手を振った彼は、スイートルームの扉の向こうへ消えていく。わなわなと震える拳。やっぱり、あの人といると調子が狂う。
こんなの、毎夜続けられたら身がもたない。
「…あのいじわる御曹司…っ…!」
私は、ぼふん!とキングサイズのベッドにダイブし、彼に触れられたうなじの熱を、必死に忘れようと目を閉じたのだった。