一途な御曹司と極あま初夜事情~クールな彼は独占欲の塊でした~
こうやってこの人は、急にさらっと私を惑わすようなセリフを口にするものだから困る。
「樹さんは、ずっとホテル経営を勉強されてきたんですか?」
「俺?」
彼は、わずかにまつ毛を伏せた。
「経営学とか法律関係は昔からやってきたけど…最初は、会社を継ぐ気なんてなかった。」
「え。」
どきり、として彼を見つめる。予想していなかった言葉に、つい、はっ、とした。
「五年前…、俺はどこへ行ったって親の話をされて、うんざりしてた。久我の息子ってだけで全てを評価されて、やっかみを受けることもよくあったし。」
そうか。久我の性に生まれた瞬間、彼の人生には御曹司としてのレールがひかれたんだ。
財閥同士のいざこざなんて庶民の私には想像もつかないが、きっと極度の重圧だったことだろう。
「言われるがままに企業を回って、パイプを繋いで…。総支配人を任された後も仕事がうまくいかない日が続いた時は、いっそ全部捨てて放浪の旅に出ようかと思ってた。」
「旅、ですか……」