一途な御曹司と極あま初夜事情~クールな彼は独占欲の塊でした~
手を出したあんたがそれを言うか?
反論しようと思ったが、綺麗な顔に見つめられて言い返せない。
色香を宿した切れ長の瞳が私を映す。
すると、私から視線を逸らさない彼は、低く艶のある声で、そっ、と言った。
「酒を飲むなとは言わないから、俺の目の届かない所では無防備にならないで。」
「…。」
「わかった?」
幼い子どもに言い聞かせるような優しい命令に、こくり、と頷く。
ふっ、と笑った彼は、見たこともないくらい優しい表情を浮かべた。まるで、本当に愛しいものを見るような瞳。
「もし、飲まなきゃやってられないくらい嫌なことがあったら俺を呼んでいいよ。いつでも部屋に行くから。…飲み会でも、他の男に送っていかれるくらいなら、俺が車で迎えに行くし。」
「…!」
やめてよね。どうせ、恋人のフリをしているだけなんでしょう?遊んでるだけなんでしょう?
お願いだから、私が恋に落ちる前に、そんな思わせぶりな表情を見せたりしないで。
彼女に囁くような甘い声で、嫉妬みたいなセリフを口にしないで。
こんな風に、嫌でも彼を意識するようなデートに誘ったりしないで。
『本気じゃないならやめとけよ。お前が御曹司サマと釣り合うわけがないんだからさ。』
かつての瀬戸の声が頭にこだました。
(どうせなら私じゃなく、この男に直接言ってよね。)
私は、もやもやする気持ちを抱きながら、運ばれてきたビールをくいっ!と飲み干したのだった。