一途な御曹司と極あま初夜事情~クールな彼は独占欲の塊でした~
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「…結局、奢られちゃった。」
サァッ、と涼しい夜風が吹く、午後九時。
店の前に一人で立つ私は、酔いを覚ましながらぼんやりと月を眺めていた。
『先に店を出てていいよ。寒かったら車で待ってて。』
さりげなく車の鍵を渡され、外に誘導された。お会計の金額を見せない辺りがさすがだ。
こんなに甘やかされていいのだろうか。恋人のフリをすることになったとはいえ、私はまだ、何も彼の利益になるようなことをしていないのに。
と、店から出てくる彼を待っていた
その時だった。
「すみません。桜庭 美香さんですよね?」
「!」
突然、ロングコートの男が声をかけてきた。ばっ、と身構えると、男はくすり、と笑ってうやうやしく頭を下げる。
「そんなに警戒なさらないでください。私は、週刊葵風の松井です。記者は私一人ですし、今回は数分インタビューにお答えいただくだけで結構ですので。少々お時間よろしいですか。」
下手に出るような口調とは裏腹に、その目は強行的に取材をするつもりのようだ。
引いている私に詰め寄る男は、有無も言わさず質問を飛ばす。
「久我さんとお二人で店に入っていく様子をお見受けしましたが、いつもこのようにお忍びでデートを?いつ頃から交際してらっしゃるのですか?お二人の馴れ初めは?」
「ぷ、プライベートのことはお答えできません…!」