ワケあり同士による華麗なる政略結婚


「よしっ、、!」








作ったお弁当をバックにしまい、出かける準備をした。

いつもよりも念入りに化粧をしてお気に入りの白ニットとスキニーパンツ、コートを羽織って直ぐに彼のいる会社に向かった。


歩いて向かう途中にいつも以上に視線を感じるが、お弁当と大事な彼の資料を強く握りしめて下を向いて駆け足で人の横を通りすぎる。

早足で来たお陰で早めに本宮ホールディングスに着き、彼の待つオフィスビルを見上げる。











今更ながら緊張してきて、足がすくむ。






藤原商事だって来たことがない。


まさか彼の会社に訪れる日がくるなんて思いもしなかった。








一度大きく深呼吸をして、中に入っていく。


ロビーにいた人達が何故か一斉にこちらに視線を向けて来た。









驚いて振り返るが、後ろには誰も居ない。




入り口にいるのは自分だけ。





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