ワケあり同士による華麗なる政略結婚
親切心の言葉だと分かっているのに、全身の震えが止まらない。
「お、気遣い、、ありが、、とうございます、、。でも、、大丈夫、、です。」
必死に言葉を絞り出して男性に笑いかける。
すると男性は少し頬を染め、視線を逸らした。
そんな姿にホッとして、その隙に通り過ぎようと足を踏み出すと手首を掴まれた。
「でも初めて来たんでしょ?案内してあげるからさ。ほら、何処の部署に用事??」
強引な男性に呼吸が乱れ始める。
こんな状況で旦那様である彼の名前を出せば、彼に迷惑が掛かる。
「あ、、あの、、大丈夫ですから、、手を離して、、下さ、、い、、っ。」
俯いて彼の名前は出さずにやり過ごそうと頑張るが親切すぎる男性は、離してくれない。