ワケあり同士による華麗なる政略結婚
「もしかして緊張してるの?君、可愛いね〜〜。ほら、こっちおいでよ。連れて行ってあげるからさ。」
そう言って肩を抱かれた。
「ひっ、、!」
段々と空気を吐き出せなくなってきて、視界が揺れる。
男性恐怖症が治ったなんて勘違いをして、迷惑を掛けてしまった事に涙が溢れた。
とうとう立っていられなくなって崩れそうになった時、ふわっと身体が宙に浮いた。
視界が歪む中、目に映ったのは見覚えのあるストライプ柄の上質なスーツと少し怒りを含んだ彼の横顔。
『、、こいつから離れろ。見て分からないのか?過呼吸だ。』
「ふ、副社長っ、、!!」
突き飛ばしたその男性に向かって一喝すると、私を抱きかかえたまま彼が足早にロビーから抜け出してエレベーターに乗ったのが分かった。