ワケあり同士による華麗なる政略結婚


「私、帰りますっ、、!頼まれていた資料、ここに置いておきます。今日は本当にすみませんでした。午後からもお仕事、頑張ってください。」







彼を見ると泣いてしまいそうで目の前にあった机に資料だけ置き、彼の方を見らずにドアに駆け出す。

すると大きな手によって立ち塞がれた。









『待て。何か勘違いしてないか?』

「し、してません。ちゃんと分かってますから。」

『ならこっち見ろ。』









顎を掴まれ、無理やり上げられた顔。

彼と目があった瞬間、溜まっていた涙がボロボロとこぼれてしまう。








『、、やっぱりな。』

「み、見ないで下さいっ、、!」







泣いている顔を見られたくなくて、サッと顔を背けようとするが逃がしてくれない。

逆に力が込められて全く顔を動かせない。


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