ワケあり同士による華麗なる政略結婚

鏡で全身にある赤い痕が見えていないかを確認して、ため息をついてしまう。


こんなに地味な格好で彼の横に並ぶのが申し訳なくて出掛けるのが億劫になる。




今まで外へ出掛ける機会が無かったため、洋服はシンプルなモノしかない。

せめて首元にアクセサリーでもあればまだマシだったかもしれないがそんなもの持っている訳がなくて、もう一度鏡をみて溜息をはいてしまう。

マコちゃんに習ったお化粧で、どうにか外に出れるくらいにはなったがやっぱり彼とは不釣り合いで嬉しい筈の彼とのお出かけが少し辛い。






でもだからと言って彼と出かけないなんて選択はない。

これ以上悩んでも仕方ないと腹をくくり、彼の待つリビングへ向かう。



のんびりと新聞を読んでいた彼が、こちらに気づき新聞を閉じた。

そして上から下まで視線を下ろして、何故か満足そうに頷いた。









『準備できたみたいだな。じゃあ、行くぞ。』

「あ、はいっ!」





こんな地味な格好だったのに、彼的には良かったらしくホッとしながら二度目になる彼の愛車に乗り込んだ。








「一体どちらに行かれるんですか?」

『少しドライブしてから水族館に行く予定だ。』

「えっ!水族館ですか?!?!」





驚きすぎて大きい声を上げてしまうと、怪訝な顔をした彼が小さく呟く。



『、、行きたいっていってただろ?それとも別の所がいいか?』



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