ワケあり同士による華麗なる政略結婚
私が以前行ってみたいといった場所を覚えてくれていて、そこへ連れて行ってくれようとしている彼の優しさが嬉しくて大きく頷いた。
「行きたいですっ、、!水族館!!!!」
『じゃあ行くぞ。あと、夜はここには戻らずにホテルに泊まるからそのつもりでいろよ。』
「っ、、泊まり、、ですか?」
私と同じ空間で泊まりだなんて、彼は本当に大丈夫なのだろうかと不安げに思っていると勘違いをした彼が目を伏せる。
『お前が嫌ならここに戻ってきても構わない。』
「私が嫌なのではなくてっ、、!その、、誠也さんが無理をされているのではないかと、、心配で、、。」
そういうと一瞬驚いた顔をして、優しい表情で私の頭に手を伸ばした彼。
『無理してる訳ないだろ。、、お前は?俺に気を遣ってるなら無理には、、。』
「私は行きたいです、、誠也さんと。」
ハッキリとした口調で思いを伝えると、それが伝わったのか彼は目を細めて頭を撫でてくれた。
彼の大きな手に撫でられるだけで不安とかモヤモヤした気持ちは一瞬で消えて胸がポカポカと温かい気持ちになる。
彼的には猫を撫でているような感覚かもしれないが、それでもいいと思った。
撫でていた手が頭から離れ、寂しくて彼のその左手を目で追うとたどり着いたのは私の右手。
そして握りしめられた手。
右手だけで器用に運転する彼の横顔を見ると、視線は正面だが穏やかな表情を浮かべていた。