ワケあり同士による華麗なる政略結婚
重ねられた手に指を絡めると彼も握り返してくれた。
マコちゃんは想いを伝えないといけないと言っていたが、彼に私に対して特別な感情がなくてもこうして妻として大事にしてくれる彼の優しさだけで私には十分だと思った。
むしろ想いを伝えて、この関係が崩れる方が怖い。
独り占めしたいという思いも日に日に強くなっているのも確かだ。
でも彼が他の女性と関係があろうとも、このまま夫婦を続けていきたいと強く望んでいる自分がいる。
こんな狡い私を彼だけには知られたくない。
幻滅されてしまうのが怖いから。
だからこの感情を気付かれてはいけない。
これからは彼の周りにいる女性達に抱くモヤモヤとした醜い感情に支配されずに、常に笑顔でいようと心に決めた。
それが彼の側に居れる、唯一の方法だと思うから。