ワケあり同士による華麗なる政略結婚
そう声を掛けると、彼は飲んでいたコーヒーを私の前に差し出した。
『飲むか?俺的にはお前が入れたコーヒーの方が美味いと思うが。』
まさか彼の飲んでいたコーヒーを差し出されるなんて思って居なかった為驚いたが、じっと飲むのを待っている彼に気づいて緊張しながらコーヒーに口をつける。
「美味しいです、、。とってもまろやかで。香りが凄く立っていて。胃に優しい感じがします。」
『そうか?俺はお前が淹れたコーヒーの方が好きだけどな。最近じゃ、アレを飲まないと調子が出ない。』
たった一杯のコーヒーをそんな風に思ってもらえていてすごく嬉しくて、真っ赤になりながらカフェラテを一気飲みする。
顔が熱くて顔をパタパタと手で仰いでいると、コーヒーショップの男性スタッフさんが近づいてきた。
何事かと視線を向けると、その男性の顔は少し赤みがかっている。
暑いのは私だけじゃなくて、空調が効き過ぎてるのかなと彼を見るが特に赤みはなく何故か眉間に皺を寄せている。
「お寛ぎの処、失礼します。当店はコーヒー、カフェラテは飲み放題となっております。おかわりはいかがですか?」
そう微笑まれて、断らずにカップをスタッフさんに差し出すとそれを彼から阻まれた。