ワケあり同士による華麗なる政略結婚
『いやもう出る。会計を。』
彼は男性スタッフさんをひと睨みすると突然立ち上がり、私の手を引きコーヒーショップを出た。
少しイラついている彼の横顔を見て、寛ぎすぎたのが原因だったかもと彼に声をかける。
「誠也さんすみません。、、ゆっくりし過ぎてしまいました。本当にすみません、、。」
『、、お前にイラついてる訳じゃない。あの男が鬱陶しかっただけだ。必要なモノは買い終わったからそろそろ向かうか。』
こちらを向いた彼は優しい表情をしていて、その表情に胸がトキめいて思わず俯いた。
これ以上好きになったら困るのに、無意識でそんな表情されたら困る。
『美麗?』
俯く私に更に優しい声をかけてきた彼。
顔は上げられなかったが、握られた手を強く握り返して呟いた。
「水族館に早く行きたいです。」
『そうか。じゃあ、行くぞ。』
「、、はい。」
買った荷物を車のトランクに詰め込み、目的地へと出発した。
目的地への道のりは海沿いで綺麗な夕日が水面に反射して、オレンジ色に輝いている。
見たことない景色に窓を開けて顔を乗り出し景色を見ていると、肩に何か掛けられた。
『この時間からは少し冷える。見るなとは言わないから身体を冷やすなよ。』
掛けられたのはブランケットでその温かさに更に胸が熱くなった。